腰の骨を腰椎と言います。腰椎と腰椎の間に椎間板と呼ばれるクッションがあり
このクッションの中身が外にはみ出てしまった状態を椎間板ヘルニアといいます。
この飛び出たヘルニアが神経を圧迫して痛みが発生すると考えられています。ところが近年になってその考えに疑問を唱える専門家も現れてきました。
以下引用文
たとえば、イギリスの疼痛生理学の権威パトリック・ウォール博士は、その著書『疼痛学序説』(横田敏勝訳・南江堂)で、次のようにヘルニア犯人説に疑問を投げかけています。
「椎間板ヘルニアの手術は70年以上もの間行なわれてきた。もてはやされたこともあったが、疑問が増し続けている。ヘルニアの突出と痛みはそれぞれ独立していて、痛みの発現におけるヘルニアの突出の役割ははっきりしない」
同様にマイアミ医科大学のヒューバート・ロズモフ教授も、「椎間板ヘルニアが痛みを引きおこす可能性は、3パーセントにも満たない」と言っています。
お二人とも、学者らしい慎重な言い回しですが、はっきりいえば、ヘルニアと腰痛は、ほとんど関係がないということでしょう。
「椎間板が神経を圧迫しても痛みは生じない」というのは、もはや医学的事実です。
引用元:『トリガーポイントブロックで腰痛は治る』(加茂淳著・風雲舎)引用させていただいた書籍の著者も現役の整形外科医です。
このように専門医の中でも従来の腰痛の考え方に異論を唱える先生も少しずつ増えてきています。しかし、一般的にはまだまだ少数派です。
加茂淳医師の書籍によると筋肉のスパズム(筋肉の硬結、炎症)が痛みの大きな原因であり、血流改善や心理的アプローチにて改善していくと述べられています。
私は腰痛とヘルニアの関係はゼロとは言い切れないと思いますが、当院へ来院される患者さんでヘルニアと診断されている場合でも、筋肉を柔らかくする治療で改善していく方は多くいます。