膝に水がたまる とは
関節は通常 関節液 と呼ばれる少量の液体があり、関節がスムーズに動くのを助ける潤滑油の働きをしています。
関節液は 滑膜 という関節内にある膜で作られ、古い関節液を吸収しながら新しい関節液を作っています。そのバランスは一定に保たれていますが、様々な原因により関節に炎症が起こると滑膜から関節液が過剰に分泌されます。
この結果、膝の水が多くなり いわゆる 膝に水がたまった 状態になります。
膝関節の炎症の原因
①運動中のケガ 捻挫や骨折
ケガの場合は関節液ではなく 血 がたまることがあります。半月板や靭帯損傷などで組織を損傷し出血することがあります。
②加齢に伴う骨の変形
骨に変形性膝関節症がある場合は日常の立ち上がり動作などで負傷してしまいますから、ケガをした記憶はないのにいつのまにか膝が腫れてしまうことがあります。
③リウマチ、痛風など 骨や軟骨の病気
食生活やストレスなどいろんな要素がありますが、原因としてまだよくわかってないものもあります。
膝に水がたまったら抜かないとダメなのか?
水がたまってしまった場合、抜く必要があるかどうかは個人差があるため一概にいえませんが、関節の炎症が治れば水は体に吸収されるので抜かなくてもよいことがあります。
他人の経験談に自分があてはまるかは別ですから、そこは注意が必要です。周囲の情報に振り回されないようにしましょう。
水がたまる原因は様々であり原因の特定は病院で診断するべきです。
病院では血液検査や関節液を抜いた時の液体の色でおおよその病態を判断することができます。
正常時、関節液は無色透明で粘り気がありますが、原因によって抜いた水の色が変わります。
黄色で透明・・ ・変形性膝関節症
黄色で濁りあり・・・リウマチ、痛風など
血液・・・半月板損傷、靭帯損傷 、ケガ
白く濁る・・・化膿性関節炎(細菌感染)
このような診断は病院を受診しないと病態を特定できないので、変形性膝関節症以外の病名を疑う場合は整形外科の受診をすすめさせていただくことがあります。
膝に水がたまったときにやるべきこと
安静 です。
膝に炎症があるときは普段の日常生活をしているだけで腫れが増したりします。膝は常に体重がかかる場所なので、歩いたり立ち座りをするだけで症状が悪化することがよくあります。 ご本人は無理したつもりはなくても日常の何気ない動作で再負傷してしまいます。かばいながら生活することが大切です。
痛み止めの服用や水を抜くことで一時的に膝が楽になることがありますが、炎症はなくなっていませんから、少し楽になってもしばらくは安静を心がけてください。
整形外科で水を抜いても、またすぐに水がたまってしまうことがあります。根本的な原因である炎症が残っている為、繰り返してしまうのです。
どうしても動かなければならない時は膝のサポーターを着けて少しでも負担がかからないようにしましょう。
そもそも水がたまるとは
膝関節に炎症があるとき、熱のある患部を冷やすために自分の体から水を集めて膝を治そうとしてくれます。
その自分の治癒力を大切にしたいです。
当院の鍼灸治療を行うことで、水を抜くことなく腫れがひいていく患者さんはたくさんみえます。痛みもなくなり普通に歩けるようになります。
病院による診断は上述したようにとても重要ですが、本来、患者さん御自身に備わっている 治癒力 を生かしながら根本的な治療を行っていきます。